日本化学会誌(化学と工業化学)
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一般論文
カルボン酸銀(I)-ビス(ホスフィン)錯体を触媒とする効率的向山アルドール反応
大河内 宗隆増井 大山口 素夫山岸 敬道
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2002 年 2002 巻 2 号 p. 223-229

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抄録

カルボン酸銀-BINAP錯体は水や酸素に対して安定であり,シリルエノールエーテル類やケテンシリルアセタール類を求核試薬とする向山アルドール反応の高活性な触媒となる.種々のアルデヒドやケトエステル類を基質とした向山アルドール反応はDMF溶媒中短時間で完結しアルドール体を定量的に与えた.より反応性の低いケトンの場合,ケテンシリルアセタールを求核試薬とすると脂肪族ケトンは高収率でアルドール体を与え,芳香族ケトンではアルドール反応とともにシリル基移動反応が認められた.カルボン酸銀-BINAP錯体はα,β-不飽和ケトンに対する向山マイケル付加においても良い触媒となった.カルボン酸銀-BINAP触媒は求核試薬を強く活性化することによりアルドール反応を進行させると考えられる.

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© 2002 The Chemical Society of Japan
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