日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
一般論文
均一沈殿法によるストロンチウムの各種リン酸塩の合成に及ぼす各種イオンの影響
加藤 千晴藤田 一美松田 恵三
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2002 年 2002 巻 3 号 p. 321-328

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抄録

尿素の加水分解を利用した均一沈殿法によるストロンチウムの各種リン酸塩の合成における反応条件について詳しく調べた.その結果,反応溶液のpH変化や加熱時間のほかに,Sr2+イオン濃度やClイオン濃度も各種リン酸塩の生成過程やSr–Ap(ストロンチウムアパタイト)の組成に影響を及ぼした.均一沈殿法によるSr–Apの合成では,初期生成物としてα-SrHPO4が生成し,(i)α-SrHPO4からSr3(PO4)2を経てSr–Apになる場合と,(ii)α-SrHPO4からβ-SrHPO4を経てSr–Apになる場合の二系統の生成過程がある.初期生成物であるα-SrHPO4はpH 6.2付近では,反応溶液のSr2+イオン濃度が低いとSr3(PO4)2に,Sr2+イオン濃度が高いとβ-SrHPO4に変化し,pH 7.2付近では反応溶液のSr2+イオン濃度にかかわらずβ-SrHPO4に変化した.中間生成物であるSr3(PO4)2β-SrHPO4は反応溶液のSr2+イオン濃度やClイオン濃度が高いほど短時間でSr–Apに変化した.

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