日本化学会誌(化学と工業化学)
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技術論文
液体導電率法による氷蓄熱槽内結氷率の計測方法の開発 —アイスオンコイル式氷蓄熱槽への適用—
相沢 和夫生越 英雅林 謙年前山 勝也米澤 宣行
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2002 年 2002 巻 3 号 p. 449-454

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抄録

地域冷暖房あるいはビル空調用氷蓄熱システムの氷蓄熱槽内の結氷率を蓄熱槽内部で氷と共存する水溶液の導電率から判定する新しい結氷率計測方法を開発し,そのアイスオンコイル型のスタティック型氷蓄熱槽への適用を検討した.結氷率の追跡は槽内の氷-水溶液の全体積測定と水溶液部分の液体導電率測定の2種類の方法で行った.水溶液の電解質の種類,濃度,製氷速度を種々設定し凝固と融解の過程で,体積変化から求めた結氷率と槽内の水溶液の液体導電率の計測値との相関を調べた.実際の氷蓄熱槽の運転に対応した低速の製氷では,電解質のほとんどが氷の外に排除されながら氷は成長し,結氷率の増大に伴う液体導電率の上昇はほぼ理想的な形で現れることがわかった.また濃縮比と液体導電率比の間に近似的に一次関数的な関係が得られた.その傾きをあらかじめ実験的に把握することによって実用上十分な精度で結氷率が判定できるという見通しが得られた.計測の指標としては水道水中にすでに含まれる程度の電解質を用いることで十分であるが,計測精度の向上には槽内の効果的な混合が必要であることもわかった.

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© 2002 The Chemical Society of Japan
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