抄録
症例は76歳男性.71歳時に両側膝窩動脈瘤(最大径右4.5 cm,左5.5 cm)による末梢動脈塞栓症により血栓除去および空置バイパス術を行った.経過観察中,空置瘤の縮小はみられず,術後約5年で両側膝窩動脈瘤周囲に血腫と仮性動脈瘤形成を認めた.神経圧迫症状なども認めたため,空置動脈瘤切除術を行った.膝窩動脈瘤の空置バイパス術は広く行われている術式であるが,瘤径の拡大が約30%にみられると報告されており,可能であれば瘤切除・置換手術の方が望ましい.空置した場合も入念な経過観察と拡大傾向を認めた場合はタイミングを失うことなく二期的切除に踏み切るべきと考えられる.