抄録
アルギン酸は一般に褐藻類から炭酸ソーダ水溶液で抽出され,その抽出反応は(1)式のように考えられている。
しかしながら,まだ抽出機構の詳細は十分明らかにされていない。本研究はこの抽出機構を明らかにするための予備実験として行ったものである。すなわち,種々濃度の炭酸ソーダ水溶液を用いて,昆布を常温で処理し,炭酸ソーダ濃度と最終液のpHならびにアルギン酸収量との関係を求めた。その結果を従来の文献と比較し,新たに炭酸ソーダの濃度が0,06Nと0.1Nとの間で,両者の曲線が同じような飛躍を示すことを認め,このことからアルギン酸を炭酸ソーダで抽出する機構を究明するための端緒を導いた。