工業化学雑誌
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塩化チタンの液体アンモニアへの溶解ならびにその溶解度
大柴 孝
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1959 年 62 巻 7 号 p. 985-992

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抄録

4価,3価および2価の塩化チタンは液体アンモニアに溶解する物質,たとえば食塩,硝酸ナトリウム,臭化ナトリウム,臭化カリウム,ヨウ化カリウム,塩化アンモン,臭化アンモンまたは硝酸アンモン等の無機塩または尿素のような有機物と付加化合物をつくって,液体アンモニアに溶解することを知った。これら共存物質のうちNaCl4NH4ClおよびNaBr等の種々の濃度における塩化チタンの常温の溶解度を,特殊な耐圧ガラス製の溶解度測定装置を考案して測定した。その結果,共存物質の液体アンモニア中の溶解量の増加に伴ない,塩化チタンの溶解度も増加するが,また共存物質の濃度が十分高い点より逆に低下することがわかった。得られた塩化チタンの溶解度は,TiCl4が65.2g NaBr/100gNH3liq.の臭化ソーダ溶液で最高7.8gTiCl4/100g NH3liq.,TiCl3が85.4g NaBr/100g NH3liq.溶液で4.4gTiCl4/100g NH3liq.およびTiCl2が48.2g NaBr/100g NH3liq.溶液で3.6g TiCl2/100g NH3liq.で,原子価の低下にしたがい低い傾向を示した。またTiCl4のアンモニアとの反応熱は約164kcal/TiCl4molであった。

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