工業化学雑誌
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酸アミド,ケトンならびにアニりン誘導体などの有機塩基による四塩化ケイ素の精製
中川 雅直
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1960 年 63 巻 12 号 p. 2115-2118

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抄録

高純度ケイ素用の四塩化ケイ素を得ることを目的とし,四塩化ケイ素中のホウ素分の除去に有効な有機塩基の検索を行なった。有機塩基としては酸アミド,ケトンおよびアニリン誘導体などのほか,シクロヘキセン,ベンゾイルクロリドおよびトリフェニルクロルメタンなどを用いた。これらの塩基を純四塩化ケイ素および微量の四塩化チタンを含む四塩化ケイ素に添加し,その際の変化を定性的に観察した。その結果により四塩化ケイ素とはほとんど反応せず,その中に溶存する四塩化チタンと反応して沈殿その他を生成すると思われる有機塩基を精製処理の対象とした。それらの1/200molを四塩化ケイ素25ccに添加して一夜放置した後沈殿物をロ別するか,あるいは添加後直ちに蒸留し,そのロ液または留出液についてホウ素の定量を行なってホウ素除去効果を調べた。その結果,N,N-ジフェニルアセトアミド,ベンズァミド,m-およびp-ニトロアニリン,2,5-ジクロルアニリン,シクロヘキセンならびにトリフェニルクロルメタンなどが有効であることがわかった。これらを用いてホウ素含有率が1.0および1.7ppmの四酸化ケイ素を処理し,0.2~0.6ppmの四塩化ケイ素を得た。

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