工業化学雑誌
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トリブチルホウ素を開始剤としたポリ酢酸ビニル中のホウ素の定量
武内 次夫鈴木 正巳井手 文雄
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1960 年 63 巻 12 号 p. 2181-2183

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抄録

アルキルホウ素を開始剤として重合をおこなった場合には次の式のようなラジカルが生成するものと考えられる。
この場合,重合開始にあずかるラジカルがR2BO2・であれば重合が進行すると生成重合体中には,ホウ素が存在し,R・であれば存在しないと考えられる。
著者らは,トリプチルホウ素を重合開始剤としてつくったポリ酢酸ビニル,およびそれを加水分解してつくったポリビニルアルコールをホウ素を含まない溶剤を用いて再沈殿して精製し,それに3倍量の炭酸ナトリウムを添加して灰化し,クルクミン法を用いてホウ素を定量した。
定量結果は0.0001%程度のホウ素が見出されたにすぎず, あきらかに重合体中には化学的に結合したホウ素は存在しないと判断される。したがって重合開始にあずかるラジカルは主としてR ・と考えてよいと思われる。

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