抄録
硝酸セリウムアンモニウム塩を触媒に用いて,セルロースの存在下でメチルメタクリレートの重合を行ない,重合に及ぼす諸因子として,重合時間,重合温度,触媒濃度,単量体濃度,硝酸濃度の影響を検討した。(1)全重合率は重合時間,重合濃度,触媒濃度ならびに硝酸濃度に比例するが,単量体濃度に反比例する。(2)グラフト効率は重合時間,単量体濃度の増大とともに一応減少するがそれぞれの初期において平衡状態になる。触媒濃度,硝酸濃度は無関係であり,重合温度(20~60℃)は反比例の関係を示す。(3)単独のポリメチルメタクリレートの生成量は極めて少ない。(4)グラフト共重合体は銅一エチレンジアミンに全く不溶である。(5)グラフト共重合体の赤外吸収スペクトルの検討を行なった。(6)重量増加率の堆大とともに吸水率は減少する。