工業化学雑誌
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ミクロパラフィンの微晶化
根来 一夫
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1961 年 64 巻 2 号 p. 295-299

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抄録

ミクロパラフィンは側鎖状の炭化水素であって,微晶質をなし,粘度の高い潤滑油やタンクの残油などから製造されている。著者はアラビア原油のタンクの残油からつくったミクロパラフィンと米国から輸入されて市販されているミクロパラフィンの結晶性状について,位相差顕微鏡を用いて観察し,特有の微結晶をなすことを認めた。また,ミクロパラフィンからプロパン脱瀝法によってアスファルト分を除去したパラフィンやシリカゲルによるクロマトグラフィーによって分離されるペンタンおよびべンゼン留分の結晶性状についても,同様に位相差顕微鏡を用いて観察し,ミクロバラフィン特有の微晶化が見られないことを見出した。さらに,プロパン脱瀝法で分離されたアスファルト分を,普通の結晶性パラフィンや脱瀝(アスファルト分を除いた)ミクロパラフィンに少量添加すれば,それらの結晶の微晶化が起ることが認められた。このようなことから,ミクロパラフィンの微晶化は二次的な要因によるものではないかと推察される。

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