工業化学雑誌
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高分子皮膜の気体,蒸気の透過性に及ぼす顔料,可塑剤の影響
伊藤 行雄
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1961 年 64 巻 2 号 p. 349-355

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抄録

顔料,可塑剤添加の高分子皮膜の炭酸ガス,窒素,ヘリウム,水蒸気の透過係数(P),拡散係数(D)を測定した。(1)硝酵繊維素-顔料系では,顔料の容積百分率濃度(ν)の増加に従がって,PおよびDは極小を経て急激な増加を示す。透過係数が極小点付近において, P( 1-ν /100 ) 以下に減少するのは, 分散している顔料のために, 拡散が迂回して行なわれる結果であり,顔料の形状のちがい等によってその影響も異なる。(2)可塑剤量が増加すると,顔料の場合と同様にPおよびDは極小を経て増加する。よって可塑剤の場合にも分子半径の大きい炭酸ガス,窒素では迂回拡散を考慮した方がよい。Dに及ぼす可塑剤の効果は,相溶性とその分子の形状による。ポリ塩化ビニルにアルキルフタレート系可塑剤を等量添加したものの,PおよびDはアルキル基のC数の増加につれて増大する。

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