工業化学雑誌
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合成ガスからチオフェンを除去する研究
河野 和夫尾頃 肇稲葉 哲雄
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1961 年 64 巻 5 号 p. 888-892

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抄録

合成用ガスの脱硫に関する基礎的な研究の一部として,高温乾式法によるC4H4Sの除去を検討した。H2およびCOにC4H4Sを混合した試料ガスを,Fe,Ni,Co,Cu,Mn,Cd,Cr,Mo,V,Al,Mgの酸化物をケイソウ土に保たせた脱硫剤上に通じ,温度250,400℃,ガス空間速度1200で脱硫を行なった。脱硫剤によるイオウの固定は,Niが脱硫初期に短期間良好な結果を示したのみで,他のものはいずれも不十分な結果であった。しかし,H2Sで前処理をしたMoは,Ni以上の活性をみせた。イオウで飽和された脱硫剤によるC4H4S→H2S転化率は,全般に低く,400℃でNi,Coが60%以上を示したにすぎない。また,ガス中に共存するCOは,転化率を減少させる。これらの結果から,C4H4Sの脱硫ば,他のイオウ化合物にくらべて,著しく困難であることが認められた。この原因として,チオフェン環が熱的に安定であること,および脱硫剤のもつ,C4H4Sへの水素添加能が被毒によって低下されることが考えられる。

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