工業化学雑誌
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部分シアノエチル化ポリビニルアルコールより部分N-メチロールカルバモイルエチル化ポリビニルアルコールの連続合成法
中村 好雄根岸 道治
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1962 年 65 巻 10 号 p. 1676-1678

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抄録

水溶性部分シアノエチル化ポリビニルアルコールを微アルカリ性下過酸化水素でほとんど完全にカルバモイル化した後,ホルムアルデヒドおよび水酸化ナトリウムを添加して過剰の過酸化水素をギ酸ナトリウムとして除去すると,同時にカルバモイル基をN-メチロール化する合成法について各種条件下の反応速度を追求した。その結果精製部分カルバモイルエチル化ポリビニルアルコールを原料とする既報の場合とほとんど同様に円滑にN-メチロール化が施行できることを認めた。
すなわち, カルバモイル化反応が定量的に進行すると仮定しての過剰な過酸化水素の除去に必要なホルムアルデヒド計算量以上に添加されたメチロール化用のホルムアルデヒドと-CN基とのモル比が増加するほど,また反応温度が高いほどN-メチロール化速度は増加する。たとえばCH2O/-CN=5mol比において,40℃では60分,50℃では30分でほとんど完全にN-メチロール化され,これらの時間においてメチロール化度に極大値の存在が認められた。また脱エーテル化速度はCH2O/-CNモル比が小さいほど,また反応温度の高いほどより大きく,-COOH基生成量はいずれの反応条件においてもきわめて微量であった。-COOH基の微量生成を無視すれば, ホルムアルデヒド過剰条件では反応速度論的に次式が導かれ,それが近似的に実験結果に適用されることを認めた。
x=a[exp(-k3t)-exp{-(k1+k2)t}]
aは-CONH2基の初濃度,xはN-メチロール化反応t時間後に生成された-CONHCH2OH基数,またk1N-メチロール化反応速度定数,k2およびk3は-CONH2基および-CONHCH2OH基の脱エール化反応速定数を示す。なおk1+k2/k3は40~50程度と推定され,k1k2k3であることが認められた。

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