1962 年 65 巻 5 号 p. 740-742
アルキレンオキシド類は単独では放射線によって重合し難い化合物であるが,放射線によって容易に重合するアクリロニトリルとの放射線共重合の研究を行なった。最も一般的なアルキレンオキシドとしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドを用いた。室温においては重合収率は大きいが,得られたポリマーはアクリロニトリルのホモポリマーである。低温においては重合収率は小さくなるがポリマー中のアルキレンオキシド含有量は増加し,特に-196℃(固相)において得られたポリマー中のアルキレンオキシド含有量は大きい。ポリマーの赤外吸収スペクトルはアルキレンオキシドの含有量が増加するとともに-COC-の吸収が大きくなりポリマーはベンゼンに可溶となる。これらの事実から,ポリマーは単なる混合物でになく,何らかの形でアルキレンオキシドとアクリロニトリルが化学的に結合している共重合物と考えられる。
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