工業化学雑誌
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6-ナイロン繊維の延伸による微細構造の変化
祖父江 寛橋本 穂
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1963 年 66 巻 4 号 p. 509-514

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抄録

6-ナイロン繊維の延伸機構を検討のため,未延伸物を空気中冷延伸し,また延伸に好適な膨潤液である1%フェノール水溶液50℃中で膨潤延伸を行ない,これら延伸試料のX線によるミセル平行度,結晶化度,複屈折度より算出された光学的配向数係の比較検討を行ない,次の結果を得た。
(1)冷延伸,膨潤延伸のいずれも配列度の向上の著しい初期過程と,配列化とともに結晶化を伴う中間過程および配列度,結晶化度の変化が少ない最終過程の三つに大別される。
(2)膨潤延伸においては,冷延伸に比較して分子鎖,ミセルをより有効に回転配向させて,繊維として好適な内部構造を形成する中間過程の範囲も遙かに大きいので,高度の配向性,結晶性を有するものが得られる。また,2θ=15°のデバイ環に沿う回折強度の分布から,延伸度3倍付近より非晶部分子鎖の配向性が認められ,4.5~5.5倍の高度延伸で著しくなる。

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