工業化学雑誌
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ヒドラジノ基を有する反応性染料
山瀬 威郎保田 昌宏黒木 宣彦小西 謙三
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1964 年 67 巻 1 号 p. 106-110

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抄録

ヒドラジノ基を有する二,三の染料を合成し,アクリル系繊維オーロン42に対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。
本染料は,アミノ基を有するアゾ染料に塩化シアヌルを作用させ,さらにその活性塩素にヒドラジンヒドラートを反応させて合成するか,あるいは活性塩素を有するアントラキノン染料にヒドラジンヒドラートを反応させて合成した。またあるものはアミノ基を有するアントラキノン染料をジアゾ化,還元,ヒドラジノ化を行なった。二,三の市販のProcinyl染料,Remazol染料をヒドラジンヒドラートでヒドラジノ化した。これらの染料を用いてオーロン42をアセトン,エチルアルコールあるいは水中で染色を行なった。
このほか,一部の染料についてはヒドラジノ化前の母体染料,ヒドラジンヒドラート,オーロン42をピリジン-水中で同時に反応,染色を行なった。
未反応染料はアセトンあるいはアルコール抽出により除去した。
一般にこれらの染料の染色性は非常に良好で,色調は黄,だいだい,赤,紫,青色系統である。堅ロウ度は洗タク,摩擦,日光とも一般にすぐれていた。染料-繊維間の共有結合生成に対する証拠は,染色物がアセトン,エチルアルコール,ピリジンの各溶剤中で抽出されないこと,およびジメチルホルムアミドに溶解させ,水で繊維を再沈殿させる操作をくりかえしても脱色しないことより確認した。

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