4,6-ジ置換トリアジン型染料において置換基としてI.塩素を有するもの,II.エトキシ基を有するもの,III.p-ニトロフェノキシ基を有するもの,およびIII'.フェノキシ基を有するものを選びこれら4種の置換基の反応性を比較,検討した。
すなわち,これら4種の置換基を有する水溶性あるいは分散型染料を合成し,絹,ナイロン,ビスコースレーヨンに対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。本染料の合成は,I.アミノ基を有するアゾ染料に塩化シアヌルを縮合させ,つぎにアルカリの存在でII.についてはこれをエチルアルコールでエトキシ化,III.についてはp-ニトロフェノールでニトロフェノキシ化,III'.についてはフェノールでフェノキシ化を行なってえた。これらの染料を用いて上述の繊維をアルカリ性あるいは酸性染色後アルカリ処理によって反応させ,未固着染料はソーピングにより除去した。反応固着はIの染料ではいずれの繊維にもきわめて良好であり,II,IIIおよびIII'の染料でもかなりの反応性を示し,とくに含窒素繊維には良好であった。しかし,セルロース繊維上ではIよりおとっていた。反応性は大体において,クロル>p-ニトロフェノキシ>フェノキシ>エトキシの順であった。色調は黄,だいたい,赤,紫色系統である。堅ロウ度は洗タク,摩擦,日光とも一般にすぐれていた。染料-繊維間の共有結合生成の証拠は既報と同様の方法で確かめた。
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