工業化学雑誌
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アントラノールをカップリング成分とする有機顔料
番匠 吉衞斎藤 イホ宮前 照子
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1964 年 67 巻 1 号 p. 177-182

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抄録

アントラノールをカップリング成分とするアゾ顔料はほとんど報告されていないので,著者らは代表的な芳香族アミン類をジアゾ化し,アントラノールにカップリングして新しい28種のアゾ顔料を合成した。ジアゾ成分として用いる芳香族アミン類として,酸基を持たないアニリソ誘導体,スルホン酸基,カルボン酸基を持つアニリン誘導体,ベンジジン誘導体,およびアミノアントラキノンが選ばれた。得られた顔料は精製後,その色調,および顔料としての性質が試験された。また簡単なアニリン誘導体から合成された顔料の赤外吸収スペクトルにより,結晶状態における顔料のケト-エノール互変異性を検討した。得られた結果は次のとおりである。
1)得られた顔料の色は黄色より赤紫色の広い範囲にあり,一般にジアゾ成分に陰性基を持つモノアゾ顔料は浅色で,陽性基を持つモノアゾ顔料は深色である。
2)不溶性モノアゾ顔料の耐光堅ロウ度は2~3級であるが,レーキ顔料のそれは4~5級である。
3)不溶性モノアゾ顔料においてジアゾ成分が陰性基を持つときはその顔料の化学構造はキノン-ヒドラゾン型となり,陽性基を持つときはオキシーアゾ型になることが赤外吸収より認められた。

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