工業化学雑誌
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各種の金属を用いたモノアゾレーキの顔料適性
番匠 吉衞鈴木 茂斎藤 イホ
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1964 年 67 巻 1 号 p. 182-185

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抄録

アゾレーキ顔料は有機顔料として非常に重要であり,それらの生産量も大きい。アゾ色素のスルホン酸(カルボン酸)のカルシウム塩,バリウム塩が主としてアゾレーキ顔料として用いられるが,まれにそれらのストロンチウム塩,マグネシウム塩,マンガン塩およびナトリウム塩なども用いられる。用いられるレーキ金属により得られた顔料の性質は異なるが,その関係は顔料化学において非常に興味深い。著者らは7種の代表的アゾ色素スルホン酸(カルボン酸)を,10種類の金属塩(Na,Mg,Ca,Sr,Ba,Mn,Fe,Co,NiおよびZrの塩類)でレーキ化し,69種類のアゾレーキ類を合成し,それらの色調を測定し,光,水,アルカリ,酸,アルコール,油,熱などに対する堅ロウ度を試験した。これらの各試験結果を金属別に整理した後,レーキ化剤としての金属塩の適否を検討した。得られた結果は次のとおりである。
1)アルカリ土金属でレーキ化されたアゾレーキ顔料の色は深いが,マンガンや第VIII族の金属を持つアゾレーキ顔料は浅色である。
2)マンガンレーキは耐光性の大きい顔料である。
3)一般にアルカリ土金属をもつアゾレーキ類は水,アルカリ,アルコール,熱に対して堅ロウであるが,酸,油には弱い。第VIII族の金属をもつアゾレーキ類は逆の関係をもつ。

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