工業化学雑誌
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キナクリドン・キノンの合成ならびにその性質
永井 芳男西 久夫後藤 信行長谷川 日吉
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1964 年 67 巻 12 号 p. 2099-2103

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抄録

キナクリドン(キノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン)(I)系化合物合成研究の一環として, まず出発物質にP-ベンゾキノン(II)とアントラニル酸(III)を選び, 酢酸中で縮合させて2,5-ジアニリノ-P-ベンゾキノン-o',o''-ジカルボン酸(IV)とし,ついで熱濃硫酸中で脱水閉環反応を行なわせてキナクリドン・キノン(キノ-[2,3-b]アクリジン-6,7,13,14-テトラオン)(V)を合成した。この化合物は試みた有機溶剤にほとんど溶解せず,従ってその精製を目的としてVをいったんカリウム塩とし,ついでこれを酢酸と煮沸してVを再生させ,高収率で純粋かつ鮮明な黄色結晶性粉末を得た。モノカリウム塩はカッ赤色針状結晶であるのに対して,ジカリウム塩は黄色粉末である。またVをアルカリ性ハイドロサルファイト溶液または塩酸とスズ粉末で還元し,両方の場合とも98%の収率で不溶性の青紫色のロイコ体粉末をえた。

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