工業化学雑誌
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有機アルミニウム化合物によるアセトアルデヒドの重合
太田 重康三枝 武夫古川 淳
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1964 年 67 巻 4 号 p. 608-612

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抄録

有機アルミニウム化合物として一般式Al(C2H5)3-nCln(n=0~3)であらわされる化合物をえらび, これらを触媒としてアセトアルデヒドの重合を行ない,有機アルミニウム化合物の触媒作用の特性をしらべた。従来,トリエチルアルミニウム(n=0)触媒によるアセトアルデヒドの重合では, 結晶性ポリマーをあたえることが知られており, この重合に対し て配位アニオン機構が考えられている。一方, 三塩化アルミニウム(n=3)を触媒とした場合は非晶性ポリマーをあたえるが, これに対してカチオン機構が考えられている。著者らはトリエチルアルミニウムと三塩化アルミニウムの中間的な性格を持つと考えられるn=1,1.5,2の場合について検討を行ない,ほとんど非晶性ポリマーのみをあたえることを見出した。また,トリエチルアルミニウムやトリエチルアルミニウム- 水系を触媒とした場合でも, 重合溶剤を用いず反応系を十分低温に保ち, アセトアルデヒドモノマーを徐々に触媒に加えるような方法で重合させると,生成ポリマーはすべて非晶性であった。
一方,トリエチルアルミニウムや, トリエチルアルミニウム- 水系にアセトアルデヒドを1 : 1 で加えて室温付近で反応させ, >Al-C2H5を> Al-ORにかえ, それを触媒とする重合では生成物が大部分結晶性であった。これらの実験事実はトリエチルアルミニウムによる重合では,トリエチルアルミニウムそれ自身はルイス酸としてはたらいて,カチオン重合をひきおこし,非晶性ポリマーをあたえ,また一方,トリエチルアルミニウムがアルデヒドモノマーと反応して,アルコキシドとなったものが触媒となるような条件下では,結晶性のポリマーが生成すると考えるとよく説明できる。

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