木材糖化液中には著量の不純物が存在し,これがブドウ糖やキシロースの結晶採取上多くの支障を与え,その精製がきわめて困難であることはデンプン糖液,ショ糖液における比ではない。
本報においては,キノン-活性炭処理法,交流電解法および多価金属イオン共沈法などの新しい方法を適用して糖液中の不純物除去度合について総括的に検討し,各種精製法の利害得失を明らかにした。
精製効果の判定は糖液の吸光度測定,TBP呈色試験,塩基性酢酸鉛による沈殿試験および加熱による着色試験などによった。デンプン糖化液中の含窒素有機物の除去に著効のあったキノン-活性炭処理によって木糖液中の含窒素有機物は除去されるが, キノン処理後の脱色に多量の活性炭を必要とし, 完全に糖液を無色にすることは容易ではなかった。
交流電解法ならびに多価金属イオン共沈法によれば比較的安価に,かつ容易に大量の不純物が除去され,木糖液は著しく脱色される。殊に交流電解法では,塩基性酢酸鉛による沈殿反応陰性,加熱着色試験による着色度が少ないことなどの結果から,木糖液の粗精製に顕著な効果を呈する。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。