工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
イソブチレンよリメタクリロニトリルの1段合成
中島 和久北原 雅夫
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 68 巻 10 号 p. 1811-1815

詳細
抄録

イソブチレン,アンモニア,および空気からのアンモオキシデーションによるメタクリロニトリルの合成を,V2O5-MoO3-P2O5(アルミニウムスポンジ担持)触媒を用いて行なった。
合成条件(反応温度,接触時間等)と生成物の関係,触媒と担体との付着比と,メタクリロニトリル生成成績※1との関係,ならびに触媒上でのアンモニアの酸化挙動等を検討し,つぎの結果を得た。
1 . 触媒の重量配合比がV 2O5:MoO3:P2O5=1:4.5:0.55,触媒対担体の重量比2:5の触媒の場合, 反応温度436℃,接触時間0.8秒で,メタクリロニトリル生成率12.9%,選択率23%の結果が得られ,本配合触媒がかなりのメタクリロニトリル生成活性を有することを見いだした。
2.反応生成物として,メタクリロニトリルの他に,メタクロレイン,アセトニトリル,青酸等の生成を認めた。
3.また,反応の追跡結果から,メタクリロニトリルとメタクロレインの生成の最適温度は,前者が比較的低温側にあるのに対し,後者は500℃ 以上の高温側にあること,また,かかる高温域ではアンモニアの酸化分解が著しく,メタクリロニトリルの生成が減少すること等がわかった。
これらの結果から,1段合成法ではメタクリロニトリルの収率に限界があり,むしろ,メタクロレインとメタクリロニトリルの生成を,それぞれ分離した反応帯域で行なわせる2段合成方式が有利であると考察した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
次の記事
feedback
Top