工業化学雑誌
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イソブチレンよりメタクリロニトリルの2段合成
中島 和久北原 雅夫
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1815-1822

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抄録

V2O5-MoO3-P2O5(担体アルミニウムスポンジ)系の触媒を用いるイソブチレンよりメタクリロニトリルの2段合成法について,メタクロレイン経由のアンモオキシデーションの詳細を研究した。
まず, 触媒について酸化バナジウム(V)(V2O5)と酸化モリブデン(VI)(MoO3)の配合比, 触媒成分と担体との付着比,ならびに担体自身の触媒能等を調べ,重量配合比がV2O5:MoO3:P2O5=1:4.5:0.55,担体に対する付着比2/5の触媒がメタクリロニトリル生成率として,最高30.5%(対イソブチレン)を与えた。またアルミニウムスポンジ自身も,メタクリロニトリル生成にかなりの選択性を有することを見いだした。
つぎに,この触媒について,反応温度,供給ガス混合比,供給空間速度,触媒量等の反応の基礎的諸条件を検討し,収率への影響を明らかにした。
また,アンモオキシデーション効率の向上のために,触媒に対する第4成分の添加効果およびアンモニアの酸化分解状況とその抑制法(多段分割供給の効果)等についても検討を加えた。これらの実験結果を解析して, 本触媒によるアンモオキシデーション効率として, メタクロレインより約6 4 % , イソブチレンより約20%がメタクリロニトリルに変換されることを認め,2段合成法が1段法よりも収率的に有利であることを明らかにした。

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