1965 年 68 巻 10 号 p. 1937-1940
種々の五酸化リン量の存在下で,塩化亜鉛あるいはジエチル亜鉛をもちいて,プロピレンオキシドの塊状重合を行なった。生成ポリマーはリンを含んでおり,プロピレンナキシドのホモポリマーはほとんど存在しなかった。このポリマーのリン含量は,仕込み五酸化リン量に依存しており,重合時間や塩化亜鉛あるいはジエチル亜鉛の量には無関係であった。低リン含量のポリマーのIRスペクトルは,低分子量のプロピレンオキシドのホモポリマーとほとんど変らなかった。しかしながら,高リン含量のポリマーでは,リン酸エステル(P-O-C)およびホスホリル基(P=O)に関連する特性吸収帯があらわれる。そしてリン含量の増加にともなってこの特性帯の強度が増加する。ポリマーはシクロヘキサンで可溶部(I)と不溶部(II)に分別された。(II)のリン含量は,(I)のそれよりも高く,(II)は約200℃ で分解する。これらのことはポリマー(I)および(II)ともに,ポリプロピレングリコールと,リン酸あるいは縮合リン酸から重縮合反応によって得られると考えられるような化学構造をもっており,さらに(II)は,橋かけ構造をもっていると推定できる。
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