工業化学雑誌
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ジフェニルケテンの酸化による重合
原田 宏東 広巳
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1965 年 68 巻 10 号 p. 1980-1985

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抄録

ジフェニルケテンと酸素との反応を検討し,それによって生成する重合物の構造を明かにした。ジフェニルケテンの酸素吸収速度を種々の溶媒中で測定した結果,ジフェニルケテン1molに対しほぼ酸素1/2molが吸収されることがわかった。生成する重合物は有機溶剤により分別しおのおのジオキサン中で氷点降下法による分子量を測定したが, 非極性溶媒中で重合せしめるほど分子量は大きく, 極性溶媒中では低分子量重合物やベンゾフェノンが生成する。また同様な現象に対して重合温度の影響を検討したが, これは重合溶媒の極性ほど顕著な影響はおよぼさない。同時に, 生成するジフェニルケテンの酸化重合物の構造を調べた結果重合物は元素分析値および赤外吸収スペクトルからC14H10O2のくり返し単位を有するポリエステルと推定できたので,さらにこれを確認するためベンジル酸を出発物質とする他の方法で重合物と同一構造を有すると思われる物質を合成し,これら両者からLiAlH4による還元分解で収率よくα,α'-ジフェニルエチレングリコールが誘導されることを知り, 酸化重合物の構造は〓であることを確認した。

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