工業化学雑誌
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均密共沈法によるニッケルシリカ触媒の焼成・還元・反応時の構造
白崎 高保塩田 利一萩原 弘申 玉鉉加藤 誠軌森川 清
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1965 年 68 巻 2 号 p. 279-282

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抄録

著者らが提案した均密共沈を利用して均質なニッケルシリカ触媒(hNS)をつくると,通常の共沈法でえたものとことなる特性を示す。これらの触媒の焼成時,水素還元時,およびエチレン水素化反応時の構造をdta,IRおよびあらたに試みた加熱ガス流通X線回折計を用いて研究した。
hNSのIRは水酸化ニッケル,シリカゲルのどちらともちがうスペクトルを示す。hNSのdta(空気中)はゲル混和法によるものとちがい,(1)水酸化ニッケルの分解吸熱(330℃)がみられず,(2)約850℃ に発熱ピークがある。この発熱ピークは沈殿生成母液がpH8.40のhNS(b)で鋭く,pH6.63のhNS(a)で散漫である。
X線回折によれば発熱ピークより低温側では,(a),(b)ともに無定形,高温側では(b)は結晶化し,(a)は散漫,散乱が現われる。加熱水素気流中のX線回折によれば,(b)の乾燥物は650℃ で,(a)の乾燥物は800℃ で金属Niの析出が認められる。(b)の900℃,2時間焼成物(結晶化物)は,580℃ で,(a)の同条件焼成物は700℃で金属が現われる。ゲル混和法による同組成のニッケルシリカではすでに300℃で金属を析出する。以上の還元時構造は100℃ ~200℃のエチレン水素化反応時にも変化しない。

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