1965 年 68 巻 2 号 p. 381-383
ポリアクリロニトリル(PAN)とアルコールの付加反応を,PAN繊維に適用した。反応触媒としては,54%の硝酸を用いて,t-ブタノールの反応性を検討した。繊維状反応速度は溶液反応に比べて非常に遅く,繊維の膨潤状態が反応速度に関係すると考えられる。繊維状反応により改質された繊維は,染色性が向上し,吸湿性も上昇するが,繊維強度は著しく低下し,反応率10%では,ほとんど強度を持たない。一方,繊維のX線図にはほとんど変化なく,反応により繊維が伸縮することもない。これらの結果から,反応は繊維内の非晶領域にのみ起こり,結晶領域には影響ないものと考えられる。
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