1966 年 69 巻 1 号 p. 115-117
液体亜硫酸中のスチレンの三フッ化ホウ素エーテル錯合体によるカチオン重合でえられたポリスチレンの分子量分布の測定から,重量平均と数平均の分子量の比,Mw/Mn,として1.05~1.17の値をえた。実験誤差および図上計算上の誤差を考慮に入れても,液体亜硫酸中のカチオン重合でえられるポリスチレンの分子量分布は単分散に近いものと考えることができ,これより推測すると,液体亜硫酸中のスチレンのカチオン重合ではkp/ki値が小さく,ktはkiおよびkpより非常に小さいことになる。これら各素反応の速度定数値の間の大小関係は,溶媒である液体亜硫酸のアニオンに対する溶媒和力と,イオン化能の大きいことおよびプロトンに対する親和力が非常に小さいことなどによって合理的に説明することができた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。