1966 年 69 巻 11 号 p. 2053-2056
写真の分光増感,および減感作用の機構を明らかにするためには,写真用色素とハロゲン化銀のエネルギー準位の位置の相対的関係についての知識が必要である。分子のエネルギー準位に関する知見は, 間接的にポーラロ半波電位から得ることができる。すなわち, 芳香族炭化水素など種々の化合物について, 最低空準位εlv の計算値とポーラロ半波電位E1/2 との間に直線関係が認められている。本研究では,前報で得られたシアニン色素とナフタリンのεlvの計算値をE1/2と比較し,両者の間に直線関係の成立することを確かめた。これらをもとにして,各種シアニン色素の気相の電子親和力,およびイオン化エネルギーとして,それぞれ1.1~2.2eV,および6.4~7.8eVを得た。一般にメチン鎖が長くなるほど,電子親和力は大きく,イオン化エネルギーは小さいことが明らかになった。
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