工業化学雑誌
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酸アンモニウリン酸二水素アンモニウムと尿素と水の溶融塩反応による縮合リン酸アンモニウムの合成
小林 悦郎
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1966 年 69 巻 11 号 p. 2065-2070

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抄録

縮合リン酸アンモニウムは濃厚リン酸, 縮合リン酸などのアンモニア化によってつくられているが, 生成過程における酸性溶融塩による反応装置の侵食が問題になっている。本研究はその点を改善するため, 原料にリン酸二水素アンモニウムと尿素と適量の水を用い結晶状縮合リン酸アンモニウムを合成した。
NH4H2PO4,(NH2)2CO,H2O(mol比1.0:0.5~2.0:1.0)の混合物を反応容器に採り,120~160℃で30~60分間加熱すると,混合物は90±5℃で融解し,直ちに作用しはじめ,NH4H2PO4(NH2)2CO系の融点118℃を越えると著しい脱水反応が行なわれる。熱処理によって得られた溶融塩は容器より取り出し,冷却後結晶状塊に固化させた。
反応生成物は水に可溶性,窒素18~30%,リン13~27%を含有し,その組成値は原料の混合比によって調節できる。適当な反応条件で得られたものは中性で肥効成分(N+P2O5)が70~76%の高濃度に達し,縮合リン酸塩(重合度2~10位)に70~95%転化,若干の未反応尿素を残留するが,ビウレットの副生は0.3%以下で化成肥料として期待できる。なおこの反応系にKH2PO4を添加した場合についても検討した。

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