工業化学雑誌
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カーボンブラック・カオリン複合焼結体の抵抗温度特性に及ぼす原料炭素の影響
加藤 悦朗長谷川 勝
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1966 年 69 巻 11 号 p. 2116-2124

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抄録

炭素複合焼結体の比抵抗(ρ)の温度特性を,炭素粉末のそれと比較して,また水蒸気や空気の吸着または表面酸化によるρの変化と関連して, 検討した。複合焼結体と熱処理炭素粉末は, γ の挙動( γ=-log(ρ20020); ρ200, ρ20 はそれぞれ200, 20℃でのρ)が互いによく一致し,その結果から実験した原料炭素を二つのグループに大別した。一グループの炭素およびその複合焼結体のγは, 焼成温度1300℃ 付近で最低値を示し, かつその値は比較的低いが, 他のものは焼成温度1200~1400℃でγは変化せず,かつ比較的高い値を示す。また前者の焼結体は250℃ までの加熱冷却の繰り返しに対Lρが安定で, logρ対1/ T 関係もほとんど変化しないが, 後者の焼結体のρは, 化学的吸着若しくは表面酸化によって低ドし, その脱着により増大する。酸化によるρの減少は,乾燥空気中一定温度で時間の平方根に比例する。これらの結果は電子構造の見地から考察され,二つのグループの炭素はその生成温度が1300℃以上であるか否かで区別されることがわかった。また比較的低温で生成されたカーボンブラック, あるいはとくに酸化物型表面皮膜を持つカーボンブラックが, 比較的低いγならびに加熱冷却に対し安定なρを持つ複合焼結体を与えることが結論された。

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