工業化学雑誌
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亜鉛- メチレン錯体とベンズアルデヒドとの反応
宮野 壮太郎飛田 満彦橋本 春吉
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1966 年 69 巻 11 号 p. 2134-2137

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抄録

エーテル類中でヨウ化メチレンと亜鉛- 銅カップルから得られる亜鉛- メチレン錯体をベンズアルデヒドと反応させ, スチレンを好収率で得た。同時に, 少量のベンジルアルコール, シクロプロピルベンゼンおよびスチルベンが副生した。亜鉛- メチレン錯体と金属亜鉛が共存しないと,大部分のベンズアルデヒドは未反応で回収され,スチレンを生成するためには金属亜鉛の存在が必要であることを認めた。
ヨウ化メチレンに対するスチレンの収率はジイソプロピルエーテル中で30% , エーテル中で37% , テトラヒドロフラン中で67%であり,溶媒のエーテルの塩基性とともに増加した。また,テトラヒドロフラン中で対応するp-置換ベンズアルデヒドとの反応によりp - クロルスチレンを74% , p - メチルスチレンを52% , p - メトキシスチレンを48% の収率で得た。
溶媒効果とp-置換基の影響から,このオレフィン生成反応は亜鉛-メチレン錯体のカルボニル基に対する求核的な反応と思われる。また,得られた結果から反応経路を考察した。

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