工業化学雑誌
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ナフテン酸金属塩およびアセチルアセトナート錯塩を触媒とするアクロレインの液相空気酸化
御園 生晃長 哲郎大勝 靖一武田 真
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1966 年 69 巻 11 号 p. 2129-2133

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抄録

種々の溶媒中において,ナフテン酸金属塩M(Nap)およびアセチルアセトナート錯塩M(acac)を触媒としてアクロレインを酸素酸化した。生成物はアクリル酸, 過アクリル酸, アクロレインとアクリル酸の重合物などであり, アクリル酸はベンゼン溶媒中でかなり生成した。アクリル酸生成の誘導期間は一般にM (acac) の方が, M(Nap) より短かく, 前者ではCo<Mn≪Fe≈Cu<Ni<<Cr,後者ではCo<Mn≈Cr<Fe≈Cu<Niの順に長くなった。アクリル酸の最高収率はべンゼン中Mn(acac)3を用いて得られ(20.5%) , その選択率は52.5% であった。Co(Nap) を触媒とした場合の酸素吸収速度式-dO2/dt = k(触媒) 0.5 ( 酸素圧)1.04から連鎖開始反応がCH2=CHCHO+Co3+→CH2=CHCO+Co2+H+であることを推定した。さらに反応中のCo-アセチルアセトナート系触媒の可視スペクトル,磁化率,分子量などから,触媒は配位子としてアセチルアセトナート以外にアクロレイン,アクリル酸,それらのオリゴマーを有する6配位型となっていることが考えられた。

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