工業化学雑誌
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高感度双子型伝導熱量計の試作とその応用
吉本 敏雄金子 征也
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1614-1619

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抄録

とくに長時間にわたる微少な反応熱を測定する目的で,高感度双子型伝導熱量計を試作した。35×20×20cmのアルミニウム・ブロック中に左右対称に2.6φ×10cmの銅製の反応容器を配置し,温度差測定用の熱電対として銅-コンスタンタン熱電対を容器とブロック間の4方向に対称に各25対ずつ計100対用い.さらに,この熱量計と組合せて使用する直流電圧計はフルスケール1μVのものを試作してドリフトを10-8V/hr以下におさえ,2.5×10-6℃の温度差検出が可能な高感度,かつ高安定度の熱量計をうることができた。
この熱量計を用いて,アルコールのモル分率が10-4台における各種の無極性有機液体との混合熱を追加混合法により測定し,n-ブチルアルコールとn-ヘキサン系の無限希釈溶解熱より,アルコールの平均的な水素結合エネルギーの値として5.3kcal/molを得ることができた。
また,フェノールの水溶液中における6-ナイロンの膨潤,溶解熱を測定して非晶部分の状態がかなり異なっている二つの試料間の相違を観測することができた。さらにゴムを伸張後収縮させた時に吸収する微少な熱量を観測することができた。

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