工業化学雑誌
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液体の迅速法熱伝導率測定
山本 明秋山 純一
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1659-1663

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抄録

加熱線法により液体試料の熱伝導率を迅速に測定する装置を新しく開発試作した。従来の同測定法では時間の対数計算をする必要があり,また多量の試料を要するため温度分布が悪く対流の影響を受けて,測定精度の低下の原因となっていた。本装置では,全く対称なブリッジを使用し,一方を標準側,他方を試料側とし,各ブリッジの出力をX.Yレコーダーのそれぞれの軸に入れて記録し,λx=Aλy tanαより熱伝導率が求められる。測定時間5秒,試料量1~1.5ml,加熱線として0.02mmφのPt-Rh1%線,15Ωを使用し,形状はコイル状,あるいは直線状とした。熱的に対称な位置におかれた二つの加熱線は,加熱線のリードからの熱損失,温度分布の状態による影響は相殺され,対流の影響も監視でき,角度αの測定のみで直接熱伝導率を知ることができる。常温から200℃までの測定が可能で,水を標準として市販1級のグリセリン,メチルアルコール,n-プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,ベンゼン,四塩化炭素などについて測定を行ない,測定精度は2.5%であった。

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