工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
高圧示差熱分析装置に関する研究-芳香族化合物の液相高圧水素添加反応に対する応用-
武谷 愿石井 忠雄牧野 和夫上田 成
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 69 巻 9 号 p. 1654-1658

詳細
抄録

高圧下の気-液相反応に使用し得る高圧示差熱分析装置を試作し,この装置を芳香族化合物の液相高圧水素添加反応に適用した。
装置の主要部は,同じ形のオートクレーブ2個と,これを加熱するアルミニウム加熱炉を,断熱炉に納めたものである。この装置は,反応温度として最高500℃まで,圧力は常用200kg/cm2までのものに適用できる。反応室には気液または触媒との接触を均一にするためのカキマゼ装置が設けてあり,また両室には熱電対のほかに微小電気ヒーターが入れてあり,反応熱,装置感度を測定することができる。この装置は示差熱を測定すると同時にガス圧の変化も測定できる。標準室,反応室に肉厚容器を用いたにもかかわらず,再現性と測定感度は良好であり,昇温速度によって異なるが,2℃/minの時,反応室内に5cal/minの発熱がある場合にも明らかに発熱ピークが検出された。またピーク面積は発生熱量に直線的に比例した。
この装置を用いてベンゼン,フェノール,ジフェニルエーテル,α-ナフトールなどの液相高圧水素添加反応を20~400℃の温度範囲で行ない,その際の示差熱,示差圧曲線および生成物の分析から得られた結果は,示差熱分析以外の方法で得られた従来の結果とほぼ一致し,高圧反応過程の研究に対して有用な装置であることを認めた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top