工業化学雑誌
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示差熱分析による粉末試料の定量性の検討
山本 明丸田 道男津山 光
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1668-1672

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抄録

示差熱分析(DTA)によりステアリン酸,安息香酸,アントラセンの融解の熱ピークを種々の条件で求めた。その結果,ピーク面積は主として雰囲気ガスの影響を強く受け,試料量20~100mgの範囲では試料の種類,加熱速度が異なっても,面積と試料量は良い比例関係をしめした。これを面積と熱量の関係として表わすと雰囲気ガスが等しい場合,どの測定結果もほとんど同じ勾配の曲線となり,各曲線はほぼ同じ位置に集まること,すなわちDTAピークと熱量を関係づける比例定数はほぼ一定であることがわかった。空気中と熱伝導性の良いヘリウムガス中の測定とをくらべると曲線の勾配は約2:1であった。したがって,DTAによって熱量を求める場合試料内の熱伝達は主として粒子間に存在する雰囲気ガスの影響をうけることを考慮しなければならないことがわかる。

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