工業化学雑誌
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酢酸ニッケル4水和物の熱分解
真鍋 和夫久保 輝一郎
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1727-1732

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抄録

酢酸ニッケル4水和物の熱分解の過程を,熱重量分析,示差熱分析,X線回析法,赤外分光分折,質量分析,化学分析などの方法で追跡した。
酢酸ニッケル4水和物の示差熱分析図形は,試料充てん層の厚さと共に著しい変動を示す。試料充てん層の厚さ2mmの時は,吸熱ピークおよび発熱ピーク,おのおの1本であるが,試料充てん層の厚さ20mmの場合は,3本の吸熱ピークと1本の発熱ピークに明瞭に分離し,さらに,無水物の熱分解による吸熱ピークの直前にきわめてわずかな発熱ピークが現われる。
4分子の結晶水の脱水は約70℃から始まるが,脱水の過程には1つの未知水和物が生成する。この水和物は,0.5水和物に相当するものと考えられる。
無水物は,100℃以上の温度では徐々に分解するが,分解の過程に中間化合物を生成し,ついで金属ニッケルに分解する。中間化合物は,10Ni(CH3COO)2・3NiOの組成をもつと推定される。

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