工業化学雑誌
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ポリプロピレン繊維の延伸・熱処理に関する示差熱分析的研究
前田 勝啓金綱 久明
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1789-1793

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抄録

ポリプロピレン(PP)未延伸繊維の微細構造におよぼす延伸・乾熱処理の効果を示差熱分析およびX線により研究した。
得られた結果は次のようである。乾熱処理により発生するmetastableな状態の融解に相当する小さな吸熱ピークが,熱処理温度より少し高温の示差熱分析曲線上に現われる。未延伸繊維を室温で延伸することにより,metastableな状態が発生し,このため,延伸倍率の増加と共に延伸繊維の融解の吸熱ピークは未延伸繊維の場合より次第にブロードになる。
延伸繊維の乾熱処理では,熱処理温度に対応して発生するmetastableな状態は,無緊張処理の場合130℃以下で,緊張処理の場合150℃以下では発生しにくくなる。

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