工業化学雑誌
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ポリエチレンテレフタレート繊維の熱処理,延伸に関する示差熱分析的研究
金綱 久明前田 勝啓
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1784-1789

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抄録

ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維の微細構造におよぼす乾熱処理,熱水処理,および延伸の効果を示差熱分析およびX線により研究した。cold crystallizationの最低温度以上で,乾熱処理した未延伸PET繊維および熱水処理した未延伸PET繊維の示差熱分析曲線中には,処理温度より少し高温のところに吸熱ピークが現われる。このピークは結晶の変態の融解による吸熱ピークではなく,熱処理により発生したmetastableな状態の融解による吸熱ピークである。同一処理温度で処理された試料については,熱水処理した未延伸PET繊維の吸熱ピークは,乾熱処理したもののピークより少し高温に現われる。熱水処理は,熱水処理温度より13℃高温の乾熱処理と同等の効果がある。熱処理により未延伸PET繊維中に生じたmetastableな状態は極度に配向したPET繊維中には発生しない。

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