工業化学雑誌
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国産二次ウラン鉱石から炭酸水素塩およびシュウ酸塩混合溶液によるウランの浸出
舟木 好右衛門石島 格関 寿西川 和幸
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1844-1849

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抄録

おもにリン灰ウラン鉱を含む人形峠鉱山の二次ウラン鉱から,浸出剤として炭酸水素塩-シュウ酸塩混合水溶液を用いて,ウランを選択的に浸出する有効な方法を提案するものである。結果は次のようであった。(1)ウランは炭酸水素塩溶液により容易に浸出できる。浸出速度と選択性はシュウ酸塩の添加により増し,速度増大効果はシュウ酸塩の陽イオンに関しK+>Na+>NH4+の順であり,ウランの一部はシュウ酸塩単味溶液によっても浸出される。(2)最適浸出剤組成はナトリウム塩の場合,ほぼNaHCO3 4.5%+Na2C2O4 3%である。(3)温度上昇とともに浸出率は増し,100℃では5時間処理で十分であり,浸出率は鉱石の型により80~90%以上となる。粒度は-200メッシュで十分であり,パルプ濃度は浸出率の著しい低下を伴わずに50%まで高められ,浸出液のpHが10.5付近に浸出率の極大がある。(4)試用鉱石は易溶,難溶の二型に分類される。(5)ウラン浸出率の点では,本法と在来の硫酸または炭酸塩法の間に著しい差はない。

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