抄録
AlEt3に対して二官能性として反応あるいは配位する可能性のあると思われるヱタノールアミン類を共触媒として用い,-78℃でアセトアルデヒドの重合を行なった。エタノールアミンとしてはモノエタノールアミン( M E A ) , ジエタノールアミン( D E A ) およびトリエタノールアミン(TEA)を使用したが,前二者のエタノールアミンを共触媒としたAlEt3/MEA,AlEt3/DEA系触媒の場合は,ほとんどメタノールに不溶性の結晶性ポリアセトアルデヒド(ポリアセタール型)のみが得られたが,TEAを共触媒とした場合は、両成分のモル比をかえてもほとんど活性を示さなかった。さらに,AlEt3/MEA(モル比1および2)系触媒にっいては,メタノール不溶性のポリマーの生成率に対する他の種々の重合条件の影響を詳細に検討した。また,MEAの塩酸塩を共触媒に使用しても結晶性ボリアセトアルデヒドが得られるが,他の触媒系の場合と異なって,この系で得られるポリマーは容易に粉末状になることから,きわめて分子量の低い結晶性ポリマーであろうと推定した。
さらに,本触媒系の作用機構をしらべるため,両成分のモル比およびエタノールアミンの種類をかえた場合に生成すると思われる推定構造式と触媒としての活性の有無を比較検討した。その結果,残存エチル基を有するもののみが活性を有するということがわかった。また,AlEt3/MEA系(モル比1および0.5)とアセトアルデヒドとの接触によってほぼ1molのエチル基が失われることがわかったが,Al-Et結合が直接重合の開始反応に関与しているかどうか不明であった。