3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-カルボアルデヒド(アクロレインダイマー:AD),3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-メタノール(DPM)およびテトラヒドロピラン-2-メタノール(TPM)を触媒存在下,オートクレーブ中で液相加圧水素化反応を行なった。酸化白金触媒ではAD,DPMともにTPMを生成したが,酢酸溶媒中で水素化すると側鎖カルビノール基のアセチル化物である2-テトラヒドロピラニルメチルアセテート(TPMA)が得られ,Pd-炭素触媒ではADから定量的にテトラヒドロピラン-2-カルボアルデヒド(TPA),DPMからTPMが得られ,両触媒ではいずれも開環生成物が得られなかった。ラネーニッケルではADからDPM,TPMと逐次的に反応が進行し,さらに温度上昇とともに側鎖の脱メチロール化反応により主としてテトラヒドロピラン(THP)およびその開環生成物である1-ペンタノールが生成した。TPMのラネーニッケル触媒による水素化分解において,アルカリの添加は触媒自体の活性を変えること。脱メチロール化反応はラジカル的に進行し,触媒面上に吸着したTPM分子が分解すると同時にTHP,メタン,水を生成することを認めた。
また触媒間の反応性の差異を金属のd-特性と活性基に対する親和性から説明した。
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