工業化学雑誌
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メタノール吸着等温線による細孔分布測定法
浦野 紘平水沢 博士清浦 雷作
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1911-1915

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抄録

常温付近で容易に測定できるメタノール吸着等温線に対して,Wheelerの考え,すなわち吸着層の厚さを補正したKelvin式を適用し,石炭類にも使用でき,しかも簡便な細孔分布測定法を提出した。
メタノール吸着等温線は自記式熱天秤で測定し,窒素吸着等温線はBETの定容装置で測定した。アナターゼ,硫酸バリウム,鱗片状黒鉛など7種類の無孔性微結晶に対するメタノール吸着等温線はln(P/P0)=-(v/vm)-6で示され,Kelvin式の適用範囲では吸着層数は1に近似できると考えられた。したがって,メタノール吸着等温線によれば,窒素吸着等温線による方法より著しく細孔分布の計算が容易になることがわかった。
2種類の活性炭,シリカゲル,シリカアルミナ,2種類の多孔質ガラスについて,計算表を用いて半径10Å以上の細孔分布を求め,Cranston-Inkleyの提出した窒素吸着等温線をもとにした計算法によって得られた細孔分布と比較した。メタノール法のほうがいくぶん細孔径の小さい側にずれる傾向を示したが,両者は良く似た分布曲線を与えることが確認された。

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