工業化学雑誌
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{Y3-xMgx}[MgyAl2-y](Al3-(x+y)Six+y) O12 系ザクロ石中の Mg2+イオンの配位選択性
諏訪 佳子中重 治野田 稲吉
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1936-1940

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抄録

{Y3-xMgx}[MgyAl2-y](Al3-(x+y)Six+y)O12(YAMG)系ザクロ石の固溶範囲とMg2+の配位選択性を検討した。Mg2+が8配位位置のY3+,または6配位位置のAl3+のみを置換する場合,単一相ザクロ石の生成範囲はそれぞれ,x<0.8,y<1.0であった。一方,Mg2+が8配位位置と6配位位置を同時に置換する場合,最大の置換量はx=O.6,y=1.0,すなわち,{Y2.4Mg0.6}[MgAl](Al1.4Si1.6)O12の組成を有し,格子定数はa0=12.008Åであった。Mg2+は一般にザクロ石構造中で,8配位位置より6配位位置をとり易いといわれている。しかしYAMG系ザクロ石の場合,Mg2+の6配位と8配位の選択性に顕著な差は見られなかった。これはMg2+の置換による構造中の配位多面体の歪への寄与は,Mg2+が8配位または6配位位置のみを占めるより,両位置を同時に占めた方がより少いためであろう。Mg2+の置換量が増えて単一相ザクロ石を生成し得ない領域では共存化合物は,配合組成の相違によって異り,xが増加すればスピネル,yが増加すれば,リン灰石型イットリウムマグネシウムケイ酸塩およびY2SiO5が共存し,それらの量は,いつれもxまたはyの増加とともに増加する。

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