1970 年 73 巻 9 号 p. 1931-1936
ルテニウム黒触媒を用いてメタノール溶媒中で,トルエンの水素化反応を反応中間生成物の速度論的挙動に注目して検討した。トルエンの水素化反応中に,三種のメチルシクロヘキセン(1>>3-≅4-メチルシクロヘキセン)が生成することを確かめた。
おのおののメチルシクロヘキセンとトルエン水素化反応の速度を比較して,トルエンの水素化反応が上記の反応中間生成物生成に相当する三つの独立した経路で起ると推定した。
多量に生成する反応中間生成物,1-メチルシクロヘキセンへの初期選択率は水素圧の増大するにつれて減少し, 約20気圧以上では一定値になる。この挙動を吸着水素と吸着中間体(一級炭素,二級炭素,三級炭素で吸着している一部水素化された状態にある三種のもの)との間に起こる表面反応機構に基づいて考察した。
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