工業化学雑誌
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塩化ホスホニトリル三量体のヒドロキノンによる塩素置換反応とその反応生成物
梶原 鳴雪斎藤 肇
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1970 年 73 巻 9 号 p. 1947-1953

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抄録

塩化ホスホニトリル三量体(以下(PNCl2)3と略記)のヒドロキノン(以下HQと略記)による塩素置換反応をアセトン(1),DMF(2)およびジオキサン(3)の溶媒を用い,HQ/(PNCl2)3のモル比3(以下M-3と略記)およびモル比6(以下M-6と略記)の条件で反応させた結果,(1)のM-3からは,P3N3ClH7O10(I),P3N3C15H21O6(II)およびP3N3Cl9C9H9O9(III),またM-6からは,P3N5Cl2H9O(IV),P3N3C30H30O3(V)およびP3N3Cl3C24H30O12(VI),(2)のM-3からは,P3N12Cl3C18H51O6(VII),M-6からは,P3N15Cl3C27H69O6(VIII),(3)のM-3からは,P3N3Cl9C33H51O6(IX)とP3N3Cl12C105H195O99(X),M-6からは,P3N9Cl3H45O6(XI)およびP3N3C18H30O15(XII)の生成物をえた。これらの生成物はM-3およびM-6の条件でえられる生成物の理論組成と異なっていることがわかった。またフェノレートを用い,(2)中でM-3およびM-6の条件で反応させた結果,P3N3Cl3(C6H5O2)3(XIII)およびP3N3(C6H5O2)6(XIV)の生成物をえた。(XIII)および(XIV)の分子量はそれぞれ760と940で,ほぼ理論値と一致していることがわかった。(XIII)および(XIV)を加熱重合してえられた重合体の物性を測定した結果,吸水率は10.2%,19.42%であった。また加水分解率および比重はそれぞれ3.3%,0.2%,0.81,1.04であった。360℃の温度下での熱的性質をしらべた結果,(XIII)の重合体の減量および変形は認められなかった。一方(XIV)の重合体は軟化することがわかった。

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