日本化學會誌
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蛋白に關する研究(第二十一報)
生體蛋白の彷徨變異に就て(其の二)
近藤 金助山田 孝雄
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1933 年 54 巻 5 号 p. 399-409

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抄録

1. S地方に栽培したる同一品種の小麥“江島神力”から單離した8種のGluteninsを0.05NaOH液に溶解して屈折率を測定してNitrogen Equivalent Refractivity“μ”を算出した.
2. その結果はGluteninsの種類によつて“μ”の値が夫々相違して居るのみならず同一Gluteninの“μ”もGluteninの濃度によつて相違して居るものが多いことを見出した.
3. けれども“μ”の値がGluteninsの種類によつて相違して居るのは單離操作の避くべからざる差異とGluteninsの彷徨變異とに原因するのであつて此等のGluteninsが本質的に相違して居る爲めでないことを考證した.
4. 蛋白の性質は酸,アルカリ,其の他鹽類等に對して感受性が強い故に單離操作の僅少なる差異は蛋白の性質表現に顯著なる相違を來すのである.このことをGluteninに就て例示することによつて蛋白の變動的性質の表現の相違を以て蛋白の本質的相違の證となしてならないことを暗示した.

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