日本化學會誌
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異種植物より得られたる澱粉の研究(第三報) 澱粉に炭酸の作用
柏谷 義三郎
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1938 年 59 巻 1 号 p. 75-79

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抄録

(1) 澱粉に炭酸を高壓下にて120°に作用せしむればその90%はAmylodextrin樣物質に變化す.
(2) Amylodextrin樣物質は水可溶性及び不溶性物質より成りその灰分中に燐,カルシウム,マグネシウムを含有し,不溶性物質には燐多く可溶性物質はカルシウムに富み兩者は灰分の成分よりAmylopectin及びAmyloseのそれに似たり.
(3) 水不溶性物質は水及び酒精に對する溶解度はAmylo-celluloseに類する點ありされど灰分成分はこれを否定する結論に導かる.
(4) 不溶性物質にヂアスターゼの反應速度Amylopectinと異りたる成績を示すことよりこれを一種の澱粉誘導體となせり.
(5) 澱粉より誘導せらるるAmylo-cellulose又Amylopectinに類する物質の生成量及びこれがヂアスターゼによる加水分解速度など米,高粱,粟によりて異なることを觀たり.
終りに臨み終始御懇篤なる御指導を賜りたる恩師小松教授に對し深甚なる感謝の意を表す.

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